Yin_Yang_Five_Elements

YIN-YANG

陰陽学説とは、自然界のすべての事物(宇宙・世界・人体等)が、「」の2つの気(物質)の相互作用によって存在しているという学説。

陰陽の「」は、「物質的・受動的・内在的・寒冷・抑制・減退」等の属性を持ち、「」 は、 「機能的・能動的・外在的・温熱・興奮・亢進」等の属性を持つといわれます。

また自然界のすべての事物は、この陰陽の相互に対立する側面(属性)を持っており、陰陽は、2つの相互に対立した事物を代表するだけではなく、同一の事物に内在する相互の対立をも代表しているといわれます(対立統一)。

これらの陰陽の属性によって、自然界のすべての事物を無限に分ける(無限可分性 : むげんかぶんせい)ことができますが、それらは、相互に関係があるものでなければならないとされ、その属性は絶対的なものではなく、相対的なものであるとされます。

また陰陽には、互いに対立して互いに牽制し制約する「対立制約(たいりつせいやく)」、互いに依存して互いが一方の存在根拠となる「互根互用(ごこんごよう)」、絶えず運動変化を起こし一定の範囲内で平衡を保つ「消長平衡(しょうちょうへいこう)」、互いに転化し合う「相互転化(そうごてんか)」といった関係性があり、陰陽はこれらに関係性により、相対的な動態平衡を保っているとされます。

また人体の疾病の発生は、根本的に陰陽の相対的な動態平衡が失われる(陰陽失調 : いんようしっちょう)ことで現れると考えられています。
たとえば、主な「陰陽失調」は、陰陽の一方が過剰になる「偏盛(へんせい)」・陰陽の一方が衰退する「偏衰(へんすい)」・陰陽の双方が虚衰する「両虚(りょうきょ)」等があります。

物質的受動的内在的

地・下・月 / 夜・暗 / 秋冬 / 女性 / 水・寒 / 寒冷 /
形・重 / 下降・内向 / 静止等

人体部位 : 体内・腹・胸・体幹・下半身
組織構造 : 筋骨・五臓・血・津液・精・営・陰経
機能活動 : 抑制・減退
外感六淫 : 寒・湿
薬性 : 寒涼(滋潤)
薬味 : 酸・苦・鹹
薬理作用 : 沈降・収斂

機能的能動的外在的

天・上・日 / 昼・明 / 春夏 / 男性 / 火・熱 / 温熱 /
気・軽 / 上昇・外向 / 運動等

人体部位 : 体表・胸・背・四肢・上半身
組織構造 : 皮毛・六腑・気・衛・陽経
機能活動 : 興奮・亢進
外感六淫 : 風・暑・燥・火(熱)
薬性 : 温熱(燥烈)
薬味 : 辛・甘・淡
薬理作用 : 昇浮・発散

陰陽は、相対的な平衡(陰陽平衡)を維持していますが、何らかの原因により、「」或いは「」のどちらかが一方に対して「偏勝」することがあります。
たとえば、「陰」或いは「陽」の「偏勝」は、中医学の病理変化では、「邪気が盛んならば、則ち実(邪気盛、則実)」であり、「虚実」でいえば、「実証」です。

また陰が偏勝すれば、「陰寒」が顕著になり、陽が偏勝すれば、「陽熱」が顕著になり、或いは陰陽は相互に制約しているため、陰の偏勝は、陽が制約されて偏衰したり、陽の偏勝は、陰が制約されて偏衰したりします。
たとえば、≪素問・陰陽応象大論篇≫における「陽が勝れば則ち熱し(陽勝則熱)、陰が勝れば則ち寒す(陰勝則寒)」・「陰が勝れば則ち陽が病み(陰勝則陽病)、陽が勝れば則ち陰が病む(陽勝則陰病)」です。

陽勝則熱 : 陽邪が盛んであれば、陽が偏盛している熱象(実熱証:温熱性の病態)が現われます。
陰勝則寒 : 陰邪が盛んであれば、陰が偏盛している寒象(実寒証:寒冷性の病態)が現われます。
陰勝則陽病 : 陰邪の亢盛が生じる病態では、陽気を損傷し、陽が病むことになります。
陽勝則陰病 : 陽邪の亢盛が生じる病態では、陰液を消耗し、陰が病むことになります。

また陰陽は、相対的な平衡を維持していますが、何らかの原因により、「」或いは「」のどちらかが一方に対して「偏衰」することがあります。
たとえば、「陰」或いは「陽」の「偏衰」は、中医学の病理変化では、「精気が奪すれば、則ち虚(精気奪、則虚)」であり、「虚実」でいえば、「虚証」です。

ここでの「精気」は、気・血・津液・精の不足だけではなく、臓腑・経絡等の生理機能の減退や失調も含まれます。
たとえば、≪素問・調経論篇≫における「陽虚すれば則ち外寒(陽虚則外寒)、陰虚すれば則ち内熱(陰虚則内熱)」です。

陽虚則外寒 : 人体の陽気の不足によって、陽が偏衰し、陰が相対的に偏勝するため、寒象(虚寒証:寒冷性の病態)が現われ、また陽気不足は、一般的に脾・腎の陽虚が多いとされます。
陰虚則内熱 : 人体の陰液の不足によって、陰が偏衰し、陽が相対的に偏勝するため、熱象(虚熱証:温熱性の病態)が現われ、また陰液不足は、一般的に肝・腎の陰虚が多いとされます。

陰陽には、「互根互用」の関係があるため、陰か陽かの一方が虚損すれば、もう一方に不足が生じ、陰陽の両方が虚すことがあります。これを「陰陽両虚(いんようりょうきょ)」といいます。
たとえば、陰虚があるために陽気の不足を誘発したものを「陰損及陽(陰損が陽に及ぶ)」といい、或いは陽虚があるために陰液の不足を誘発したものを「陽損及陰(陽損が陰に及ぶ)」といいます。
また臓腑の腎は、人体の陰陽の根本であるとされ、他臓の陰液或いは陽気の損傷は、腎の陰陽に及びやすいといわれます。
そのため、腎の陰陽が失調すれば、「陰損及陽」或いは「陽損及陰」の性質により「陰陽互損(いんようごそん)」が生じやすいといわれます。

陰損及陽 : 陰損が陽に及ぶとは、陰液の虚損のため、陽気の化源が不足し、陽虚が生じることで、陰陽両虚となることです。
陽損及陰 : 陽損が陰に及ぶとは、陰気の虚損のため、陰液の化生が不足し、陰虚が生じることで、陰陽両虚となることです。

FIVE ELEMENTS

五行学説とは、自然界のすべての事物(宇宙・世界・人体等)が「」の5つの物質によって構成され、また「五行(木行・火行・土行・金行・水行)」の関係性により、自然界は平衡を保ちながら存在しているという学説。

五行説は、自然界の万物が「」の5つの物質により構成され、また世界はこの5つの物質が持つ性質によって均衡が保たれているという考えであります。
また五行説は、自然界(季節・方位等)や人体の部位(臓腑・各組織等)を、それぞれの5つの特性に合せて振り分けることができるといわれます。(参考 : 五行色体表

五行は、「木生火(木は火を生む)・火生土(火は土を生む)・土生金(土は金を生む)・金生水(金は水を生む)・水生木(水は木を生む)」という順序により、事物に対して「資生促進助長」が働くといわれ、これを「相生(そうせい)」といいます。

また「木克土(木は土を抑える)・土克水(土は水を抑える)・水克火(水は火を抑える)・火克金(火は金を抑える)・金克木(金は木を抑える)」という行の順序により、事物に対して「制約抑制」が働くといわれ、これを「相克(そうこく)」といいます。

この五行の相克関係の中で克すぎる状態のことを「相乗(そうじょう)」といいます。
たとえば、相乗には、五行の中の1つの行が強くなり、克す1つの行を制しすぎる場合(相乗[例] : 木乗土)、或いは克される1つの行が虚弱となり、克す1つの行が、その虚に乗じる場合(相乗[例] : 土虚木乗)があります。

また五行の正常な相克の順序とは反対になる状態(反侮或いは反克)を「相侮(そうぶ)」といいます。
たとえば、相侮には、五行の1つの行が強くなり、それを克していた行が強くなった1つの行を制することができなくなるだけではなく、逆に自らが克す行に反克される場合(相侮[例] : 木侮金)、或いは1つの行が虚弱になり、自らが克していた1つの行を制することができなくなるだけではなく、逆に自らが克す行に反克される場合(相侮[例] : 金虚木侮)があります。

また相乗が生じれば、同時に相侮も起こることがあり、或いは相侮が生じれば、同時に相乗も起こることがあります。

※五行の相生相克は、自然界の正常な現象であり、また人体の正常な生理現象でもありますが、「相乗相侮」は、五行の異常な状態での相克現象といわれます。

五行色体表(ごぎょうしきたいひょう)

木属性 : 木は、「曲直(えんちょく)」であり、樹木が生長する様子を指し、「生長昇発条達」等の性質を表わします。

五行五気五季五方五色五味五神


五臓五腑五体五官五華五液五志

火属性 : 火は、「炎上(えんじょう)」であり、炎が燃えさかる様子を指し、「温熱向上」等の性質を表わします。

五行五気五季五方五色五味五神


五臓五腑五体五官五華五液五志
小腸

土属性 : 土は、「稼穡(かしょく)」であり、土地に種を播き収穫する様子を指し、「生化承載受納」等の性質を表わします。

五行五気五季五方五色五味五神

湿
長夏中央
五臓五腑五体五官五華五液五志
肌肉

金属性 : 金は、「従革(じゅうかく)」であり、金属が鋳造され変化する様子を指し、「粛降変革収斂」等の性質を表わします。

五行五気五季五方五色五味五神


西
五臓五腑五体五官五華五液五志
大腸

水属性 : 水は、「潤下(じゅんげ)」であり、水が潤し上から下に流れる様子を指し、「寒冷滋潤向下」等の性質を表わします。

五行五気五季五方五色五味五神

五臓五腑五体五官五華五液五志
膀胱